英国紳士に憧れて

格好いい英国紳士になるべく、日々の精進と思いをつむいで。主にホームズについて。

英国紳士を考察5「挿絵とイメージ」


グラナダTVが、特にこだわって原作を大事にして製作した「シャーロック・ホームズの冒険」


シャーロック・ホームズの冒険 完全版 DVD-BOX

 

実は原作に寄せているというよりは「挿絵」に寄せているというところが正解です。


BBCホームズの劇場版『シャーロック 忌わしの花嫁』でも、

新聞にホームズとの事件の記録を載せているホームズの伝記作家ワトソンは、

挿絵画家のせいで髭を伸ばさなければならなくなったとハドソン夫人に愚痴っています。挿絵で世間のイメージが決まってしまう時代だったのでしょう。


実際、原典においてワトソン自身に「口髭の紳士」という表記はないわけです。
まあ、一人称で書いているので、自分の風体を表記するなんてことしないのですが。

何よりドイル氏は会話のやり取りをしている時に、別の情報を入れることをしない人です。海外の作家の文章って、こういうの多いんですよね。

日本人作家なら鍵括弧が続きすぎるのは嫌うので、どうしても相手がどういう表情やしぐさをしたというような間というか情景描写を入れるんです。

 

ホームズだって「鹿討帽をかぶって出かけた」ということが文章表記で書いてあることは無いわけですから、まさに描いた挿絵担当のパジェットの功績というか、責任というか。その後、全世界に知られ語り継がれるホームズの、全ての基準となる挿絵を描いた男としてもっと名前を認知されるべき人。

※過去の僕の記事でも語っております。

 

 

当時は髭を伸ばして整えているのは紳士のたしなみのように言われていました。作者のドイル氏もそれはそれは立派な髭を蓄えてらっしゃいます。


髭って面倒なんですけどね、伸ばしてる人とかほんと尊敬します。とはいえ、毎日剃るのも大変だし、仕事的に剃らないわけにいかないし、今の時代に口ひげ生やしてたら、上級のオシャレ紳士(イメージ:おひょいさんこと藤村俊二)かかつての文豪に憧れている奇人(イメージ:日本紙幣に載るような偉人のオタク)の二択しかない。

僕の場合、間違いなく後者とされてしまうでしょう。どうがんばってもオシャレ紳士には程遠い事実があるからです。ええ、自覚もありますとも。

鼻の下らへんがもぞもぞするのも食べ物や飲み物が付着するのも、それを気にしなきゃいけない生活を送るのも好きじゃないし、間違いなく個人的に髭は伸ばさないんですけどね。

 

犬とかも大変だろうなと改めて思う今日この頃。
そういえば先日、たれ耳の犬用にご飯皿に耳が入ってしまわないようにヘアバンドがあると知りました。


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コレは暑い時期にクビも冷やしてくれると言う優れものらしい。うちの犬(先代)もたれ耳種でしたが、お皿に入る程ではなかったので、その存在を知らなかったですが、ちょっと使ってみたかった…。見てみたいというだけの好奇心。

耳の病気になったときには、耳の中の通気を良くするために、スポンジをつけたクリップを作成して、両耳を後頭部で止めてあげていたのですが、これも最初のうち嫌がってたな。一生懸命褒めて、
「かわいい! オシャレ」
と煽て認識させたらそんなには頭を振ってとろうとはしなくなったときには、なにその女子力!と感動したものです。(多分、通気のおかげで症状が緩和していくことに気付いたんだろうと思うけど、女子力のせいにしておく)

 

もとい…

この耳バンドのように、当時流行してた紳士のたしなみ口髭もやっぱり汚すのは嫌という人が多かったようで、ブロックする専用のアイテムがあったのだそうです。

食器メーカーのノリタケを訪れた際に、ノリタケミュージアムに展示してあって「さすが紅茶をたしなむ国、まさに英国紳士」と大爆笑したのを覚えています。(バカにしているわけではない)

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『ムスタッシュカップ』というもので、カップそのものに髭カバーとでも言うのかな、ミルクティーとかが髭に付かないようにガードをするわけですね。紅茶ってほら、香りを楽しむためのものだから、ティーカップの口を全部覆うのではなくて、髭だけをカバーすることに拘った形。

スタバの持ち帰り用カップ蓋(こちらは、トラベラーリットという物体らしい)もいわゆる髭カバーではあるけれども、あれはこぼれないようにするためだったり、保温のためだったり、カプチーノの上部にある泡が一気に入ってこないようにバランスをとりながら飲むためだったりと、諸説ありながらも用途が結構あるわけですよね。
でもあれじゃだめなんですよ。なんてったって香りが楽しめないから。

だからカバーするためだけのヒゲ紳士用のカップを作る発想。

裏面洗うの面倒そう…(個人の感想です)

口髭紳士専用のスプーンもあったらしい。

もう剃ってしまおうよ、それは(個人の見解です)

 

髭用のカバー付カップ…だめだ、やっぱ笑えるわ。

ワトソン博士はパジェットが挿絵に髭を描いてくれたがために、

この髭カバー付のをハドソン夫人が購入してわざわざ使用していたのかというようなことを妄想してしまいます。

これって家用なのか? 

来客用もあるのか?

5客セットのティーカップのうち、何個かをムスタッシュカップにしなければならないのか? 

普通のカップに装着して使える便利な携帯式とかもあったのか? 

必ず携帯していて、バーでは「ビールの時も安心」ってのも紳士のたしなみなのか? 

 

ビクトリア朝の謎光景を考察していると、ニヤニヤが止まらないのです。 


図説 英国ティーカップの歴史 増補新装版: 紅茶でよみとくイギリス史 (ふくろうの本/世界の文化)