英国紳士に憧れて

格好いい英国紳士になるべく、日々の精進と思いをつむいで。主にホームズについて。

英国紳士を考察3 「マゼランの宝石」とDVD最終巻


シャーロック・ホームズの冒険 完全版 Vol.23 [DVD]

 

シリーズの中では、最終巻となる23巻。

作品は、

・金縁の鼻眼鏡

・マゼランの宝石

の2本が収録されています。

最終巻ではありますが、グラナダ・ホームズの作品としては、

・ボール箱

が最後の制作とされているので、DVDにおいての最終巻という事になります。

 

僕は定期的にシリーズ全巻を再生して観ているほどの憧れを発揮しますが、

実を申しますと、この23巻だけはあまり再生していないのです。

 

作品として『マゼランの宝石』は、シリーズでとても特異な点が二つあります。

一つは、原作における2作品の要素が入っていること。タイトルこそ『マゼランの宝石』ですが、事件は『3人のガリデブ』も同時に発生します。

もう一つは、事件捜査にホームズ本人がほとんど携わっていないこと。

物語の冒頭、ホームズは別の事件の調査のために、出掛けていくシーンから始まり、ワトソンに留守を頼むと伝えます。

 

ホームズ「第三の目で、見守っているからね」

 

そのため、ホームズ宛に依頼に来たガリデブ姉妹の話には、ワトソンが調査に乗り出し、ホームズには手紙で逐一報告してます。

一方で、ディオゲネスクラブを訪ねてきた紳士は、マイクロフト・ホームズに「盗まれたマゼランの宝石を取り戻してほしいと弟に伝えてほしい」と伝達係を依頼するのですが、こちらは兄自らが動くという、まったく異例の作品となりました。

結果的に二つの事件は絡み合い、マイクロフトとワトソンという異色のコンビでの事件解決になるのです。

普段は非行動派を公言している(からあの体型になっている)マイクロフトが、活動部隊としている弟に頼まずに自分が動くと言うところもかなり異質。

 

原因は、当時のジェレミー・ブレットの体調が芳しくなかったため、大幅にシナリオを書き換えることとなったからと言われています。

実際、冒頭に出てくるホームズは、ワトソンと2ショットで映るシーンは無いので多分別撮りです。

最後にも登場します。

事件を解決した兄に対して、ホームズは見ていたよずっと、とばかりに「ブラボー」と兄を讃えて振り返り闇の中に消えます。もちろん別撮りです。

事件解決のために、ワトソンの方に助言となるメモを使者の手を通じて渡しますが、この時ホームズ自身は出てきていないので、作中に登場するのは最初と最後だけ。

 

最後のシーンなんて、去っていくホームズがもうお別れ感を暗示しているかのようで、僕的には観てらんないんです。と言う理由から、僕の再生率がぐんと下がるわけです。

NHKでの放送当時、ジェレミーの容態など知らない僕は、久々のスペシャル版にわくわくしていたのですが、コレはホームズなのかとガッカリした記憶もあります。

後にいろいろと調べて、原因を知るのですがそれほど深刻な状況なのだとも思っていませんでした。その後、大人買いしたDVD完全版。

 


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収録タイトルを見て、23巻はどちらかというとスピンオフ版みたいなものだなと思ってしまったのは事実ですが、シナリオとしてはよくできています。

原典の短編をドラマの尺まで引き延ばすとするとかなり間延びしてしまうところもあり、内容を創作して書き加えなければならなかったりするのですが、『マゼランの宝石』に関しては、2つの短編を融合させていることでその間延びが解消されています。

また、ガリデブ事件において、原典には出てこないガリデブ姉妹が登場しますが、これが良い味を出して、ドクターワトソンを振り回します。

ワトソン、女性に弱いなぁ。こういうシーンよく見る。そして他人とあまり関わりたくないマイクロフトは極力この姉妹と距離をとっているあたりも実はよくできてます。

 

ディオゲネスクラブで普通に声を発しているところとか、なによりマイクロフトが「動く」というところに予定調和の違和感があるにしても、二人の紳士が奮闘するのはとても魅力的です。

ちなみに、同時収録の『金縁の鼻眼鏡』に関しても、エドワード・ワトソンが不在となっています。当時の撮影スケジュールでどうしても出演できなかったからだそうで、こちらでもマイクロフト兄さんが奮闘。ホームズ兄弟がタッグを組んで事件に挑んでいます。

 

この1枚、マイクロフトファンにしてみれば、必見の1枚と言えるのかもしれません。