英国紳士に憧れて

格好いい英国紳士になるべく、日々の精進と思いをつむいで。主にホームズについて。

英国紳士を考察15 ~マスグレーブ家の儀式~

いや、寒いっす。

※東京 雪予報回避の夜。


英国紳士に憧れていて、北海道が大好きで、雪国生まれで雪国育ちなのに!

寒いの、苦手な凡人です。寒いの嫌い。底冷えするとか、一番苦手です。

 

都内に暮らしていると、世界一不便な都内の路線の貧弱さを雪の日に実感します。
地元じゃこの程度の雪で止まっていたら、毎日運休です。
同じJR東日本なのに、なぜここまで弱いんだよ!


まあ、今日の予報ではそれほど交通網に影響がなかったのでよしとします。

 

さて、最近めっきりホームズの話をしていなかったので、こんな寒い日に思い出すグラナダ・ホームズの水没シーンを振り返ってみることに。

 

宝探しの話でもあるこのタイトル

『マスグレーブ家の儀式(※グラナダでは儀式書)』

ですが、ホームズシリーズにおいて珍しい点が2つあります。


1つは、ワトソンはホームズと一緒に行動していないこと。ホームズがワトソンに昔の出来事を話している形で物語が進むところです。

翻訳者のセンスにもよりますが、ホームズのセリフは昔の会話を復唱している形なので、カッコ閉じの中にカッコがあって、とてつもなく読みづらい作品だった印象です。

 

「その時の彼は叫んだよ。『それはあいつのだ! 見た記憶がある』と」

 

こんな感じの文章が続くので、文字面が悪くイライラします。

できたら『ライオンのたてがみ』のように、ホームズ語りとして書いてほしかったかなと思う僕です。


さてもう一つ珍しいのは、ホームズの旧友が登場するところです。
ホームズ自身が、友人はワトソン以外にはいないと言っているのだから、大学時代に共に学んでいたというだけのことで友人というよりは昔馴染みなんでしょう。

 

ukgentleman.hatenablog.com

 

その昔馴染みがホームズを訪ねてきて事件は始まり、彼はマスグレーブ家に出向きます。

そしてその家に伝わる儀式とされる暗号を解き、宝を手に入れるという話です。

※ほら、マフラー。寒そうでしょ?

 


#16 マスグレーブ家の儀式書

 

実際に手に入れた宝はすでに朽ちていて、およそ宝には見えなかったというオチです。

ホームズより先に儀式の謎を解き宝を手にした者がいたのですが、その者は不慮の事故か、ひどい仕打ちをし続けてきた恋人の手によるものかは定かではなかったですがすでにこの世にいませんでした。


ホームズは謎を解き、宝ではなく彼の窒息した死体を見つけることになります。

さて、その儀式の文言がこちら。

それは誰のものか?
去りし人の物なり
それは誰が持つべきか?
来たりし人が持つべき物
太陽はどこにあるか?
楢の木の上に
影はどこにあるか
楡の木の下に
どのように歩むか?

北へ10歩、そして10歩、

東へ5歩、そして5歩、

南へ2歩、そして2歩、

西へ1歩、そして1歩

そして下へ

何を我々は与えるか?
我々のもの全てを
なぜ我々は与えるか?
信頼のためである

 

原文です。

宝の地図にありがちな、
【東へ〇歩、北へ〇歩】
というようなかなりあいまいな表記が僕は納得いきません。

歩幅なんて、人によって違うじゃないか。どんなあいまいな目安だと思ってしまうタイプの人間です。


しかも起点となる目印の大木も枯れてしまっているという…(原典の表記にあります)。

もはや無理だろう? 見つけるの不可能。


原典を読んでいると、時々そんなことが起こります。

 

グラナダ・ホームズでは、

大木は枯れたのではなく、屋根の上にあった風見鶏にデザインされている「木」が起点となっていたので、そういう意味ではこれを回避していたのでありでした。

さすがグラナダ

とか思ったのですが…

 

その起点から長身のジェレミーが猛烈な速さで歩数を数えて進んでいき、その後ろをマスグレーブ当主とワトソンが小走りについていきます。
※ドラマでは、ワトソンも同行したという脚本に変わっていました。

絶対歩数なんて合わない! 

そこんところも回避してほしい! 

そのくらいできたでしょ?

 

褒めて貶す複雑なファン心理です。

 

マスグレーブ家に仕えていた執事の恋人の手によって、発見された宝は持ち出されていました。

閉じ込められ窒息死した執事はその恋人にひどい仕打ちをしてきた、だから天罰が下ったとホームズは考えます。その恋人も、宝は敷地内の池に投げ捨てて行方をくらまし、ホームズもどこかでひっそり暮らしていると推測して原典は終わるのですが。

 

グラナダでは、この恋人の死体も後に見つかっています。これはドラマオリジナル。

水に浮かぶ静かな死体は、なんとも凛々しい。

凛としているからこそ、寒々しいとでも言いますか。

震えるんです。

凍えるんです。

 

ちなみに僕は、極寒の中の映画とか見ると感情移入しすぎて投資しそうになるタイプでして、『南極物語』でも『タイタニック』でも唇紫になるたちです。タイタニックなんて真夏に観に行ってますけどね!

あまりの寒さにデュカプリオより先に水没・凍死するところでした。

あっぶね!

 


タイタニック (字幕版)

 

ということで、寒い日になるとどうしても思い出すグラナダのワンシーンの話でした(もう一個あるので、またの機会に)。

 

どんな死に方でもいいけど、冷たい水に入ってってことだけは絶対に避けたいと僕に決意させてくれた素晴らしいシーンです。


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