英国紳士に憧れて

格好いい英国紳士になるべく、日々の精進と思いをつむいで。主にホームズについて。

ディオゲネスクラブ(Diogenes CULB)

結論から言います。

基本、ホームズ兄弟は変人です。


自分たちでもそう言っているので、別にこれについては疑問はないのですが。

では兄と弟のどちらが良識人なのか?


お互いにお互いのことを認め合ってはいるものの、それは能力的な部分であって、変人対決したらお互いにずっと罵りあう画が浮かびます。同族嫌悪ですよね。

 

ちなみに、僕は兄圧勝、マイクロフト・ホームズの勝利と確信しております。

罵り合いではなくて、変人合戦がね。

一応、政府の高級官僚でいる立場上、良識ある人間を装っていないといけないわけですが、装っている様子は見られず、なんだったらいろいろやらかしたことを判りやすい職権乱用でもみ消してその地位を築いているのでは?とか考えてしまいます。


うん、彼ならやる。絶対やってる。

 

ギリシャ語通訳」で初登場となるマイクロフト兄さんは、自身が設立した快適な場所『ディオゲネスクラブ』という独特な場所にいました。そこと自宅と職場くらいしか動かないとホームズが言ってます。だからアザラシみたいになるんだよ、兄さん。

そんな聞いたこともないクラブに、弟は相棒のワトソンを連れて行きます。

彼にはなんと兄がいたのです! 相棒が弟を超える変人を目にします。

変人たちの巣窟、ディオゲネスクラブにいるド変人。


グラナダ・ホームズでは僕の大好きな(ディスっているわけではない)ディオゲネスクラブが再現されています。この再現度も素晴らしいです。

 

ディオゲネスクラブは会員制の社交場です。社交場なのに、絶対のルールとして「喋ってはならない」がまずあります。翻訳者によってさまざまな書き方にはなっていますが、『何があっても他人としゃべってはならない』というのが鉄の共通ルールです。
このルールを破り、声を発してしまって、三回注意されると除名処分となります。

いや、他者と喋れないのならまず集まるなよ、家に籠もれよというツッコミしかありません。ぼくは常識の人なので。

 

ただし、ホームズ兄弟は違うわけです。憧れるわけです。


そういう場所を創るのが、変人マイクロフト。しかも「創設者の一人」という。つまり他にもいる変人達と創ってます。

会員になる英国紳士はなぜかいっぱいいて、除名処分になったやつもいて、やっぱり変人の巣窟だなと思うわけです。

 

クラブ名の由来となる『ディオゲネス』ってなにか。実はギリシャの哲学者です。
紀元前412年? - 紀元前323年 
アンティステネスの弟子で、ソクラテスの孫弟子にあたる、そうです。
ハテナが付いているほど大昔の人だったことだけわかります。情報も正しいのかと言われると諸説ありますレベルです。

 

哲学というものから縁遠かった僕は、ホームズを読んでいて出てくるディオゲネス・クラブにモチーフとなった哲学者がいたのだと知ります。※かなり調べました。
縁遠いということはつまり興味がなかったから手をつけなかった分野だということですが、ディオゲネスに関しては読んでみたいと思ったんですよね。
なんで創設の際に、マイクロフトたちが学者の名前を付けたのかを知りたくなったというのが本当のところ。

 

驚愕の思想を持ったこの人、ディオゲネスさん。それもう変人を裏付ける逸話ばかりです。犬のような生活をしていたとか樽に住んでいたとか。
「人間とは、二本足で歩く毛のない動物だ」と誰かが言えば、鳥の毛をむしって「これがお前の言う人間なのか?」と言ってみたりと、エピソードが服着て歩いているような人です。
思想信条であるキュニコス派を指す英語『cynic』がシニカルの語源となったという説。たしかに【シニカル=世を拗ねた、皮肉な】という言葉が彼によってできたというのはなんだか納得できます。そんな人を皮肉るのが好きだったとしか言いようのない話ばかり。

変わったことをする誰しもが認める変人なんですが、しかしなぜだか愛されキャラだったというところが不思議です。
ドイル氏も皮肉屋のホームズを創り上げるにあたって、ディオゲネスをイメージしたのでしょうか?

日ごろの会話の中で「哲学者って変人」みたいな結論が出たりすると、僕は間違いなくディオゲネスさんを思い浮かべてます。でも哲学者としてはそんなに有名じゃないと聞いたんですけどね。

僕も変人ってことなんでしょうか?
まずいなぁ。

 

僕に会員の資格は多分ない。

皆さん、読書してみてください。