英国紳士を考察9 ~まだ英国紳士は出てきていない~
毛色が変わってきたぞ、『歌舞伎町シャーロック』。
前回、ドラマとの比較をこめて、1話だけを視聴した上での感想を書いてみたんですけど、もしかしたらアニメシャーロックは、かなり原作を重視した作品となっているかもしれないと思い始めました。
初回を観た感想時、僕は世界観だけ歌舞伎町という架空の都市に置き換えて、登場人物は名前をそのままで…というような書き方をしていたのですが、回が進む毎にちょっとずつその全貌が見えてきました。
二話以降のタイトルがこちらです。
#02:泣きぼくろ見つめ隊はいかが
原作タイトル:赤毛連盟
#03:エース・京極冬人の夢は
原作タイトル:ノーウッドの建築家
設定は現代日本に置き換えているのですが、
トリックや真相は原作版をうまく現代風にアレンジして造っているんです。
しかも、絶妙すぎてわからない!ということではなく、かなり忠実ながら原作知っていれば、ああなるほどというラインを攻めています。
これが巧妙。
だって、原作読み直したくなるくらいの骨組みが残ってるんですよ。30分アニメが、原作のテイストたっぷりの短編で作られてる。
すでに2シーズンが決定しているという情報だけを考えてみても、最終回3話くらいは、盛り上がり前中後編のオリジナルだとして、あと20話はかなり原作短編を読み返したくなる話が続いてくれるというステキな企画。
特に#02の原作「赤毛連盟」は僕の大好きな話でもあるので、震えました。
赤毛の人を招集するという嘘の設定を、泣きぼくろを持つ女性アイドルグループの設定に変えただけで、ほとんど原作と変わっていないという巧みの技。一定の時間店から離れてほしいという犯人の思惑は、アイドル育成のためのレッスンの時間として使われます。まあレッスンで他のやつと一人も会ってないとか関係者だれも紹介されないという段階で、気付こうよという古典ものにありがちなアラもあるのですが。
#03はアニメならではのウザい演出でトリックの面白さが消えてました。コレはちょっと残念。
某カリスマロック歌手のY沢氏をパクっただろうBちゃん(Aちゃんではない)のルー語が気になって気になって、疑わしくてしょうがない。嘘くさすぎて、もうコイツ犯人だよと思ってしまう。
「トゥギャザーしようぜ」
ってもはやまんまじゃんよ。
結果で言うと、どちらも物語のキモである落語が要らないという所業はまだまだ変わっていません。あと、ジョンはなぜ依頼の話を切り出すときに嘘をつくんだ? これも今はまだ無意味になっている演出です。のちのちあかされるのでしょうけど。
発狂しかしないだろうと思っていたシャーロック。
まだ一人として英国紳士は登場しておりませんが、アニメ版は今後もちょいちょい気にしていこうと思います(ドラマはつらくなってきたことをご報告しておきます)。
※3話までの感想です。
ところで「ノーウッドの建築家」はグラナダ・ホームズで観るのもお勧めします。
初期作品では大好きな話です。残念ながら、日本語版は割愛がひどくて話の内容が入ってこない程に必要部分が消されていますが、原典忠実再現度はかなりのもの。
当時初代ワトソン役声優だった長門裕之さんと、奥さんの南田洋子さんの夫婦声優競演も見所(聴き所?)のひとつです。
図に乗ったレストレード警部の演技もこの作品が一番好きです。