英国紳士の兄弟(マイクロフトとシャーロック)
ホームズ家には、偉大なる探偵の息子と、どうやら政府の重要ポストに関わる(弟が言うには政府そのものらしいですが)息子がいます。
この兄弟は、お互いに相手の才能を認め合いながら、それでも自分の方が上だと言い合います。
時折推理ゲームをしては、相手が言い当てられなかったことを付け足して優位に立つ特別ルールで勝負しています。
仲は良い方なのです、きっと。
マイクロフトとシャーロックの年齢差は推定7歳。
グラナダ・ホームズでは、その兄弟が共演(競演?)する話数はひどく少ないですが、
そこは原作に忠実であり続けたグラナダ。
それはもう恰幅の良さから、弟に対する態度まで素晴らしくマイクロフトでした。
※パッケージの右がマイクロフト・ホームズ役のチャールズ・グレイ
「他に手掛けている仕事なんかいいから、こっちを優先しろ」と弟に依頼する横柄さ。
堪らない兄弟関係です。
シャーロックが死んだとされ、姿をくらましていた2年間、情報源であり資金源でもありと、弟の手助けもしてくれていました。さすが高級官僚です。
この英国紳士兄弟の更なる良い関係がとても良く描写されているのが、
近代版の「SHERLOCK」です。それはもうBBCに感謝としか言いようがありません。
SHERLOCKでは、1話目からほぼどの回にもといっていいほど、マイクロフトの存在があります。1話目にして、「彼の最大の敵」と自分で名乗りワトソンを困惑させるシーンがあるくらいです。
原作でもグラナダ版でも、数話しか出てこなかった兄が、常に事件に関わっているところ、さらには兄弟二人で競演(こっちのほうは正しい)するシーンが多いこと、ファンとしては嬉しい限りです。
小さいときの遊び相手は弟しかいなかった、というか他のバカと遊ぶ気になれなかったというセリフがあるので、シャーロック自身が幼少時からものすごーく天才で変人で兄にも一目置かれていたことになります。
BBC版でマイクロフトを演じているのは、マーク・ゲイティス(右)。
彼は制作総指揮も脚本にも携わって、「SHERLOCK」の世界観を創り上げています。
その上でのマイクロフト役としての出演。
ということで、まさに『BBC「SHERLOCK」そのもの』みたいな感じです。
あの細部まで原作を読んで創り上げられた緻密な本を上げてるのです。
凡人は英国紳士に憧れますが、天才には感服するばかりです。