凡人の生存確認11 ~「技師の親指」に怯える~
最近あまり原典に触れていない気がしてきた凡人です。
なので今日は僕が常に抱える恐怖についてちょっとだけ書きます。
原典を読み過ぎているせいで僕にできたトラウマが一個あります。
夢を見ているとき、僕は夢であると認識できるタイプの人間です。
現実ではない世界だとすぐに気づくので、「あ、夢だな」と認識しながら続きをみている…そんな感じです。
で、その展開の分岐点あたりで寝ている脳内で気付くことがあります。
この夢が良い夢か悪い夢かどうか…じゃなくて、この夢がトラウマに誘導されて怖い夢になっていくという確信がでてくるというのが正しいかな。
短編の作品「技師の親指」
ストーリーは、医師ワトソンの元に訪れた親指を失った患者の技師が、ホームズに自身に起こった奇妙な出来事を話して事件の真実を暴いてもらう…というものです。
技師は建物から脱出しよう窓枠に手をかけた際に、相手に見つかりしがみついていた手の親指を斧のようなもので切り落とされる設定です。
僕のトラウマはこの作品で、怖い夢はすべてこれを起点としています。
夢の展開は、大抵何かに追われて、ぎりぎりに追い詰められて、刃物を振り上げた相手に指を切り落とされます。
あ、正確には振り下ろされた瞬間でだいたい目が覚めます。汗びっしょりです。まず飛び起きて瞬時に親指確認します。なぜ親指限定なんだ! もちろんあります、そりゃそうだ。
しかし…ここまで自分で理解しているのであれば、追い詰められる前の段階で「夢だから」と意識して起きてしまえば心臓バクバクで汗びっしょりで飛び起きることもないのです。それはわかってる、なのに起きれない!
なぜだ、怖いもの見たさなのか?
なんだこの怖いとわかっていても『世にも奇妙な物語』を観てしまう感覚は!
ちなみに、刃物を振りかざして追ってくる老人は杖を突いていて脚が悪い風を装っているのですが、本気になると僕の全速力よりも高速で(杖を使いつつ)追いかけてきます。
その様が一番怖いです。きっと寝てる側の本体の僕はこの時点で汗びっしょり…
↓トラウマになった挿絵がこちらです。
間違いなくパジェットが描いた挿絵がリアルすぎるのが問題だと思っている…。
出来れば楽しい夢が見たい…。
エルリック兄弟( Brother.Elric)
『鋼の錬金術師』の主人公である兄弟(兄がエドワード・エルリック、弟がアルフォンス・エルリック)に、凡人はとても英国紳士を感じています。
少年漫画の主人公ならではの「少年から青年への心の成長」がコミック完結までにとてもよく描写されている作品です。
連載時からちゃんと追って読んでいたし、なんなら所有していたのでとても好きな作品でした。
主軸にとても重たいテーマがある作品にはハマりやすいという傾向が凡人にはありますが、その地雷を見事に踏み抜いていった漫画です。
卓越した錬金術師であるエルリック兄弟(兄はちびで金髪で赤い、弟は甲冑)が失ってしまった身体(兄は右手と左足、弟は全身)を取り戻すため「賢者の石」を探して旅をしているという単純なストーリーで始まったのですが、キーとなる「賢者の石」の秘密を知ったことにより、物語が世界規模の壮大なスケールとなっていき、その中で兄弟は何が正義かを思い知らされていきます。
※このくらいならネタバレにならないだろうという配慮のもと概要を書いてみた…
話の根底にあるのは「錬金術 = 対価交換」です。
なんでも作り出せる便利な術である錬金術ではありますが、素材を加工して生み出すという考え方なので「無」からは作り出すことはできない、必ず対価が必要であるというもの。つまり相応の対価がよういされない場合は、代償が支払われるという絶対のルールがあり、そのタブーを犯した代償として兄弟は身体を失いました。
この作者の考え方が僕はすごく好きで、ここに僕は英国紳士を感じてしまいました。
錬金術といえば、アトリエシリーズですが、そういえばあれも素材集めが主となるゲームでしたねぇ。
マリーのアトリエ プラス~ザールブルグの錬金術士~ PlayStation the Best
僕はハマらなかったシリーズですが、未だ後継作品が出ているんですね! びっくりだ。
ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~ (パッケージ版封入特典(エクストラサウンドコレクション ダウンロードシリアル) 同梱) - Switch
昨今「鳥貴族の錬金術」というようなことで盛り上がってましたが、「錬金術のルールにのっとってない!」と勝手に憤慨している僕がいます。…余談でした。
幼い兄弟は錬金術の禁忌を犯してしまいますが、旅をする中で人間の「命」に向き合っていきます。弟は甲冑に魂を留まらせている、すなわち身体がない状態にある「命」です。生きているとは何なのかを旅と戦いの中で何度も悩みます。
兄もまた、錬金術師最大の禁忌を犯したことにより弟の身体を代償としてしまった幼い日の自分の行いに苦悩し続けます。
何を対価に何が得れるのか?
それを得るのは自分だけの「欲」ではないのか?
兄弟は最終的に自分たちの納得のいく答えを導き出すのですが、全27巻に素晴らしくまとまっている作品です。
こちら、アニメ化もしているのですが…
鋼の錬金術師 2003年 TV版 コンプリート DVD-BOX (全51話, 1260分) 荒川弘 アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]
アニメ開始当時の2003年には連載中で完結していなかったので、アニメオリジナルのストーリーで終わっていました。
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST Blu-ray Disc Box(完全生産限定版)
その後、原作を忠実にアニメ化したバージョンも制作されました。
こちらはギャグ要素多めではありましたが、ちゃんと原作通りのエンディングを迎えてくれてます。
もちろん原作を読んでほしいとは思うのですが、アニメに関しては、どちらも見てほしい…と言えるほどクオリティーが高いです。ただしどちらも考えられないくらい長編なので観るの大変ですけどね…。
ウィリアム・ジェームス・モリアーティ(William James Moriarty)
英国紳士に憧れているくせに、どちらかというと感情移入は悪側に寄り添う凡人です。
ヒーローよりもヒールに肩入れしちまう傾向にあるのです。
ということで、今回はこの作品をご紹介。
憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
原案:コナン・ドイルということでキャストはすべて原典を当たってます。
ホームズ側ではなくて、宿敵モリアーティ視点で物語は進みます。
孤児であった少年がなぜ、いかにして犯罪のスペシャリストとなったのか、なぜモリアーティ卿となったのかというところから話が始まり、本作では宿敵となるシャーロック・ホームズは2巻にならないと出てきません。
若かりしモリアーティは表向き大学教授をやっておりますが、クライムコンサルタント(犯罪相談役)という一面もあります。
完全階級制度により弱い立場の人間を人以下の扱いをする貴族がはびこる腐敗した世の中を改善すべく、モリアーティ一味は暗躍します。
犯罪者ではありますが、結果として弱者の味方でもあるモリアーティを描いています、とてつもなくかっこよく。日本で言うなら必殺仕事人みたいな感じですね。
しかし原典をよくかみ砕いた作品であり、世界観であり…。かなりハマりました。
原典では六回ほどしか登場しないおじいちゃんモリアーティを美形に描写し主人公にしたうえで、各話組み立てもきれいです。
モリアーティ一味の中には原典ではおなじみのモラン大佐もいる!
ここが憎いんですよ。
憂国のモリアーティ 8 (特装限定版)<最終巻> [DVD]
さあ、この作品先日よりアニメ化開始となりました。
楽しみでなりません。
ただ、まだ原作は完結していないので途中終わりになることは間違いないでしょうが…へんなアニメオリジナルという最終回にだけはしないでほしいところです。
この秋の期待値高めアニメの紹介でした。
凡人が憧れて25 ~分母の話~
先日、ある話を聞いて驚愕した件を取り上げたいと思います。
スラムダンクセクハラというワードが存在するということです。
SLAM DUNK(スラムダンク) 完全版 全24巻・全巻セット (ジャンプコミックスデラックス)
簡単に言うと、
「あの名作、スラムダンクを知らないの? 読まないといけないよ!」
とスラムダンク世代が豪語するという話です。
もちろん僕は、世代なのでちゃんと読んでいますし、持ってます。
先人の知恵としてスラムダンクほどの名作は読まなければならないという教えなのでしょう。
もちろん名作です。否定はしません。
それは絶対言えますが…
じゃあ、あなたはその後のバスケマンガの名作を知ってますか?ということになると思うのです。例えば「黒子のバスケ」とかね。
バスケマンガの金字塔としてスラダンを提示するのであれば、比較してちゃんと若い世代が支持している黒バスをちゃんとおえているのか?
これが分母の話です。
バスケだけで言えば、「DEAR BOYS」にもスラムダンク時代にちゃんとハマっていました。
八神先生の描く女子の表情や、筋肉と洋服の重なりの表現(ここ大事)が魅了的で、僕の中では代表作です。体のラインの描き方は群を抜いていると思っています。
DEAR BOYS ACT3 コミック 1-21巻セット (講談社コミックス月刊マガジン)
バスケの漫画をお勧めするのであれば、今売れている漫画にも手を出して分母を広げようという話しです。
バスケだけではなく、様々なスポーツにおいても名作漫画はあります。
「YAWARA!」にはまった人もいると思います。
YAWARA! 完全版 コミック 全20巻完結セット (ビッグコミックススペシャル)
オリンピックに合わせてアニメも放送されて、ブームとなった作品です。だとしたら、「オビギュ」も読んでほしい!
柔道部物語も読んでください!
そして少しでも小林まこと先生に興味が出たら、代表作の「What's Michael?」に触れてほしい。
猫好きなら一巻だけでいいから読んでほしい…そう感じるのです。
What’s Michael?9巻め (イブニングコミックス)
柔道だけで言うなら、野球マンガの金字塔「ドカベン」だってまずは柔道の話です。
パワハラとかね視野が狭いという話ではなくて、分母を広げてほしいなと思うのです。えり好みせず、どの時代の漫画も見続けないと助言なんてできません。
興味ある所に触れて、それの原点は何なのかを知る楽しさ(原点なんてものはない、前衛的なものをゼロから生み出したなんてもはやあり得ないから)に気づいてほしいのです。
だからこそ、僕は原典が好きなのです。
追悼を述べたくて ~ぜひその死は演技だったと言ってほしいから~
シャーロック好きとしてはあまり評価してないという記事をだいぶ前に書いた気がしますが、凡人は竹内結子さんは大好きだった女優さんです。
一番に上がるドラマは「ランチの女王」。
本来、食べることが大好きな僕は美味しそうに食べる人を見るのもとても好きです。
あんなに美味しそうにご飯を食べる女優さんは、…こんなに食べるドラマが多い世の中においてもまず見つけられていません。竹内さんの素晴らしさです。中でも、なーかーでもエンディングシーンは尊いと感じます。僕の上げるベストエンディングの一位です。…二位は「王様のレストラン」だけど。
今思うと、すごいキャストだな、このドラマ。
どのくらい好きだったかというと、珍しくロケ現場まで足を運んだくらいです。
本郷あたりで舞台となった洋食店が再現されていました。わざわざ調べて向かった。そしてすぐに出会えた。可愛かったなー。
相反して、最近は強い女性のイメージが強い役が多かったイメージです。
僕の大好きな三谷幸喜作品にも多く出演されていて、チャーミングで妖艶な演技をされていました。
脚本家好きの僕が最近必ずチェックする、ここのとこ最も勢いのある古沢良太さん。
最新映画にも出演していたので、映画館に観に行ってきたばかりです。
いや、これは竹内さん目当てではないけどさ。
最近多いんですけど、まさかまさかのニュースでした。
さすがに心臓がきゅってなりました。
最近注目俳優が自ら…というのが多すぎる! そういえば、三浦さんもこの映画出てたな。…怖すぎるよ。そして切ないよ。
その他に、僕が密かにショックを受けたのは芦名 星さんの件です。
名バイプレーヤーとしての役割を十分に満たしていたのに、なんでだ!
あんなに美しいのに、なんでだ!
彼女の役作りに惚れこんだ作品がこちら。
心打ちぬかれた作品でした。美人過ぎて浮いててしょうがなかったけど、ダブル主演よりも脇役がちゃんと立っていた作品でした。
ご冥福…言いたくないな。
竹内さんの作品、まだまだ観たかったとしか言えない。演技だったんでとか言ってくれないかな…。
久々に泣きそうになったことなので、追悼のため記事にしました。
しょうがないから「天国の本屋」見直そうと思います。
凡人はいろんなものに憧れる3 ~進撃の巨人~
アメトーークで特集したらしいという噂を聞きました(観てないけど)。
凡人も連載開始から始まってかなりハマっております。
話がどんどん複雑になっていったので、月刊では追えなくなってその時一度離れてしまいました。
で、20巻が出たあたりで単行本派となり一気に読み返して、一気にアニメ版を観返して、そして世界観を考察し直して、結局目線が変わってもう一度読み直す。
エンドレスです。
物語が戦争を舞台としているため、立場によって思想が変わってきます。なので、誰の立場に感情を寄せるかで台詞の見方が全く変わってくるところが素晴らしい。
年内には完結予定だと作者が宣言したこともあり、只今1巻からの壮大な伏線回収段階なので、もう一回読み直して頭に入れないとなーと思っていたあたりに自粛期間が重なったのでがっつり見直しました。
何度目だ…。
30巻以上続くとやはり一番目に見て取れる成長は、主人公そのものではなく、作者の画力。デビュー作なのでそれはもう1巻あたりは辛かったのですが、見開きでも耐えられるほどの作画に。素晴らしい成長を遂げています(言い方、気を付けよう)
TVアニメ「進撃の巨人」Season1 Blu-ray BOX
さらにはアニメ製作チームの高いクオリティーを保持しつつのアニメ作品…ちなみにこちらは、また途中(to be continue…で終わってる)なので、完結までアニメやる気満々です。seasonで言うと現在3期で止まっているのですが、最後まで…5期でも終わるのか?というほどこれからの展開長いけど、頑張ってほしいです。
提供するものが、常にファンをうならせるだけのクオリティーであること。憧れますね。
アニメにおいては、世界観とリンクするOPを常に提供しているという部分でも感動です。
もちろん作者にも憧れます。
ゼロから1を生み出す創作能力は天才にしか出来ません。
この作品においては、まさに世界観を創造する天才という言葉がぴったりです。
凡人の生存確認10 ~GO TO キャンペーン”映画館”~
基本ものぐさな人間なので、ちょっと習慣を変えてしますとすぐにだらける凡人です。
だいぶん日にちを空けてしまいました。
生存確認で言うと、生きてます。
こんなに空いてしまった言い訳としましては…ネタがないというところでしょうか?
外を歩いていれば、いろんな人を観察できるし、街の外観からもインスピレーションを受けることができて、そこから複雑に乱雑に想像したり妄想したり、あれこれ結びつけて考えたり考えすぎてこじらせたり…、とそんな思考で生きていた人間なのに、外出しないことで機会が無くなりました。
会社の方針はとてもありがたいのですが、毎日一歩も家から出ずに、誰にも会わずに、死んでいても気付かれずに、見つかった時には腐敗しているような生活をしていては、まず手始めに脳が腐敗してしまう!
ということで、重い腰を上げて映画館に行ってきました。
映画や観劇は、本当に間を空けてしまうと行かなくなってしまいます。観劇というのは、割と高い金払ってチケットをゲットするので、そこそこ観に行きたいモノを厳選します。
対して映画は、面白くなさそうなものでもふらっと行って時間が合えば観れるなーという手軽さが一番の魅力。そこで、無名でも面白い作品に出会ったりと当たり・はずれがあって別で楽しい趣味…だったのですが、今はもう予約なしでは観れない時代になりました。難しい世の中ですが、意外と反社ではないのでルールには従う凡人です。あ、脳内では罵詈雑言の嵐です。
さて、予約までして観たかったのはこちら。
自他ともに認めるジブリストとしては、こんな機会でもなければ映画館で観ることなんてもうないと思っていた作品です。
もちろん、金曜ロードショーでさんざん観ましたよ?
台詞だって同じタイミングでタイピングできるくらい暗記してますよ?
ええ、VHSだって持っていたし、DVDだって買ってありますよ。
でも、映画館! スクリーン! これが醍醐味です。
重い腰を上げる価値が絶対あるのです!
ありがとう、ジブリ! この恩は一生忘れない!
やっぱり良かったです。なんてすごいんだろう。なんて尊いんだろう。そしてなんて今見るべき作品なんだろう。
姫様が、マスクを外して「私を信じて、荷を捨てなさい!」と谷の民に笑顔で告げるシーンに感動しました。
腐海(ふかい)の森とは、マスクなしで呼吸すると死んでしまう場所。なんかこう、コロナの危険性を結び付けて考えさせられるシーンでした。
鑑賞してからきてからというもの、マスクを外すたびに「う…、少し肺に入った…」と呟く遊びをしています(一人なのに…)。
しかし僕が一番好きなジブリ作品は『天空の城ラピュタ』でして。
理由は映画として完璧だからです。
しかも主人公ではないキャラのファンだったりします。なんて邪道…
ラピュタとは、天然イケメンのパズーがシータだけでなく関わった周りの女子全員に「惚れてまうやろ!」となるようなセリフや行動をナチュラルにかましていくだけの映画ですが(いやいや、そういうことではない)、110分ちょっとの中で見事にストーリーが成立していることが凄い作品です。
なぜ一番はナウシカじゃないのか? それはストーリーが映画後も…続いているからです。
風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」
漫画でその後が描かれている。しかも7巻まで出ている。つまり映画はオープニングくらいのことしかやってないんです。もはや漫画メインじゃないか!というほど内容が濃いのです。
出来れば、ナウシカ2を制作してほしいと願うばかり。いや、クシャナってタイトルでもいいから! 監督が生きているうちに!
凡人の切実な願いでした。
ナウシカは漫画もお勧めです。読んだことない方はぜひ。